アール・デコ 〜その美しき “有用性”
過日、
とあるきっかけでランプシェードをひとつ手に入れた。
それまで私の部屋の灯りは
まるでビンボー長屋に似合いそうな
剥き出しの裸電球だけだった。
好きでそうしていた訳でもなく、
長年気に入ったランプシェードが見つからず、
あくまで仕方なくそうしていただけである。笑
そして出会った乳白色ガラスの
アールデコ様式のランプシェード。

当然、1920〜30年代の当時物ではなく
所謂 “レプリカ・デコ” の類ではあるが、
非常にヨーロピアン的な意匠で
まさに一目惚れして
しかもあり得ないほどの安価で購入した。
そのアールデコにも色々あって、
アメリカ西海岸風のポップなデコより、
やっぱりヨーロッパ / 旧東欧の香りのするものが
好みである。

昔々、学生の頃に訪れたパリで
クリニャンクールの蚤の市に出かけた事があった。
それはそれはもう、垂涎モノの20s〜30sアールデコの
置き時計やカトラリー、器、調度品、等々が
ズラリとあったがとても買える値段では無かった。

なので日本の骨董市や蚤の市やリサイクルショップなどで
それらしいものを見つけてはコレクションしていたのだが
阪神淡路大震災のどさくさで
紛失したり破損したりと失ったものも随分ある。

まあなぜしかしアールデコに惹かれるのか??
敢えて私なりに一言で言うと
「目に気持ち良い」のである。

そしてこれほど普段の生活様式に溶け込んだ美術モードも
かつて無かったのではないだろうか?
玄関のドアノブから茶器の一つに至るまで。
つまり「美術」と「装飾」の古くからの垣根 / 差別を
解消したところに魅力があるのではと思っている。

実際、私もガラス製のデコの器を
単に眺めて愛でるでなく
ミックスナッツや漬物を盛ったりして
この「美しき有用性〜ビューティリティ」を
味わっている。笑

とはいえ何せ割れ物が多い。
私自身少々、ガサツなところがあるので
破損させず大事に「使いたい」と思う。笑