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デュッセルドルフ 〜 ヒューマンビートボックス / From Occident to Orient vol.12

CULTURE, MUSIC, LIFE STYLE

6月以降まだ多少の規制はある中でも、本格的にコンサートが開催されるようになったベルリン。

まだまだ本来の姿を取り戻したと言えるわけではないですが、音楽シーンにも活気が戻ってきて、音楽家は有観客のコンサートを楽んでいます。生演奏を聴く機会が長らくなかった観客も、存分に楽しんでいる様子がSNS等での友人知人の投稿や、僕自身がステージに立ったり、観客としてコンサートやギグ等を見に行った際に伝わってきます。

コロナ禍からオンラインでのコンサート等が盛んになり、日常的に開催されるようになったとは思いますが、やはり音を一番楽しむことができるのは、生で聴くことだなと改めて感じています。

デュッセルドルフ

7月はドイツへ来て初めてデュッセルドルフへ行きました。「asphalt festival」というフェスで、音楽とダンスのパフォーマンスでの出演でした。湖の上にステージが浮かんでいるので、ダンスが入るとステージが揺れてしまい演奏するのが大変でしたが、貴重な体験でした。

デュッセルドルフには沢山の日本人が住んでいて、街中を歩いているとよく日本人を見かけます。リトル東京と呼ばれる「インマーマン通り」へ行くと居酒屋やラーメン屋など、日本食レストランがたくさん並んでいます。日本の書店やスーパーなんかもありました。

近くには、古くから産業面や交通面などで重要なライン川が流れています。とても大きな川で、全長1233キロメートルにも及ぶそうです。デュッセルドルフ近辺では川幅も広く、200メートル以上はあると思います。

ヒューマンビートボックス

さて、今回はヒューマンビートボックスについて紹介していきたいと思います。

ヒューマンビートボックス(以下、ビートボックスとします)は、ヒップホップから生まれた音楽表現で、口や鼻の発声、呼吸音を用いて、ドラムセットやパーカッションの音、メロディーやベースライン、スクラッチ音、ミキシングによる音色の変化などすべて1人で演奏する音楽表現です。

下記の動画はYouTuberのHIKAKIN氏の演奏するマリオメドレーです。

HIKAKIN氏はもともとビートボクサーで、この10年以上前の動画がバズったことをきっかけに世間に知られ、今もトップYouTuberとして活躍されています。

同じように口でドラムを演奏する表現としては、20年程前にアカペラブームを巻き起こしたハモネプ人気によって、ボイスパーカッション(以下、ボイパとします)が広く知られています。混同されることも多いですが、ボイパは基本的にはバンドにおけるドラムセットと同じ役割で、ソリストとしての要素はあまり強くないです。

下記はハモネプから有名になりメジャーデビューを果たしたRAG FAIRのライブ動画です。

対してビートボックスは、基本的にソロで魅せるパフォーマンス、もしくは複数人の場合でも、基本的にはテクニックを魅せるパフォーマンスが中心となり、使う音色もボイパよりも多くて細かいです。

ちなみに、当時高校生の僕はハモネプでボイパを知ってやってみたくなってしまいましたが、その後ビートボックスも知って、ビートボックスで使われる簡単なテクニックをいろいろと練習していました。今はもうほとんどビートボックスをやることはないですが、カーヌーンよりも気軽にできるので、もっと練習と研究を続けてたら良かったなと今更ながら思います(笑)

ボイパが全国区になった頃は、ビートボクサーはまだとても少なかったのですが、2009年にはドイツで世界大会が開催され、以降は世界中で認知度が高まるにつれてビートボクサーはどんどんと増えていき、今も尚、さまざまな表現やテクニックが日々生み出されている、まだまだ発展途上の分野と言えます。

僕がカーヌーンを学ぶためにエジプトに滞在していた2009年には、エジプトでもすでに結構ビートボックスが浸透していたようで、El Sawy Culturewheel という文化センターでビートボックスの大会が開催されていました。アラブのリズムなんかも取り入れているビートボクサーもいて、見応えもありとてもおもしろかったです。

最後に、レジェンドビートボクサーを紹介して締めたいと思います。

今回紹介する3人は、ビートボックスの黎明期ともいえる80年代から活躍していたビートボクサーたちです。

Buff Love

80年代から活躍していた Fat Boys というヒップホップグループには Buff Love というビートボックスのパイオニアの1人がいました。Fat Boys自体コミカルなヒップホップグループという印象ですが、Buff Loveのビートボックスもまた、コミカルでさらに力強くとても存在感があります。彼は1995年に心臓発作のため、なんと28歳という若さで他界してしまいました。

Doug E. Fresh

Doug E. Fresh というラッパーは、ビートボクサーとしても有名でパイオニアの1人です。彼のビートボックスは、多彩なテクニックを用いて、当時のドラムマシンやエフェクト音を再現するテクニカルなビートボックスが特徴です。彼のビートボックスのみで構成されたビートに、Slick Rickがラップを乗せた “La Di Da Di” は、80年代のヒップホップクラシックの1つでもあります。

Biz Markie

“Just A Friend” というヒット曲が有名なラッパー Biz Markie も、80年代から活躍したビートボックスのパイオニアの1人です。ラッパーとしてはコミカルな面が強いですが、86年のデビュー曲 “Make the Music with Your Mouth, Biz” は渋いトラックの楽曲で、彼のビートボックスも存分にフィーチャーされています。彼は2021年7月16日に57歳という若さで死去、ご冥福をお祈りします。

下記の動画はライブ映像で Biz Is Goin’ Off と Make The Music のMashupになっています。

いかがでしたでしょうか?

次回もさらに凄腕ビートボクサーを紹介していきます。