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映画レビュー ~森の熊さん大好き、駆除反対ムーヴの暇人は見てみましょう「ブラックフット」~

CULTURE, LIFE STYLE

2023年はこれまでにないぐらい各地で「熊」による被害が発生したそうです。 2023年4月から10月で、環境省によると、18都道府県で172人というとんでもない数の被害。 環境省が取りまとめて以来、2020年が一番多かったそうです。 あー、恐ろしい。 町中まで降りてきて女子高生が襲われたりする事件も発生。 東北の方では、猟友会の人々が銃を片手に駆除されているそうで。 が、恐ろしいのは、どうも他府県の暇人が「熊さんがかわいそう」と各市役所などに抗議の電話。 その殺到で、業務にも支障を来しているそうです。

こっちのが怖いわ。

「熊さんがかわいそう」のお花畑の発想は暇な人がしてればいいと思うが、電話で抗議ってどんな暇メンタルやねん。

というわけで、そんな方々におすすめなのが、本作品。 なんでも、カナダの樹海で実際にあったらしいというから、余計恐ろしい。 熊被害映画。

ブラックフット

監督 アダム・マクドナルド
2014年製作 / 91分 / カナダ

ストーリー

アウトドア好きなアレックスとアウトドア初心者のジェンのカップルは、カナダの雄大な自然の中でキャンプをすることに。 アレックスはいやがるジェンを森の奥へ連れて行く。 その夜、2人はブラッドという男に出会った。 高圧的で怪しげなブラッドを振り切るため小道に向かったアレックスとジェンは、途中で道を誤り広大な森の中に迷い込んでしまう。 路頭に迷い関係が悪化した2人の目の前に現れたのは、血に飢えた巨大な人喰い熊だった!

ショボいアレックスと可愛いジェン(参照元

前半と後半で違った楽しみ方

前半、なんつーか、ちょっと揉め気味のカップル劇が楽しめます。 プライドの高めの彼氏アレックスはキャンプ野郎。「俺についてこいや」的、イケメン感だしますが、どうにも抜け感あり。 キャンプは不慣れやけど、できる地頭もってまっせ感の彼女ジェンは、「しゃあないな、こいつ、まぁ男立てといたろ」という具合で進むのが導入です。

キーマン登場

イライラのイライラで進む前半、「いや、熊はよ」と思いつつですが、個人的には割と音楽や演出の観点で、イライラも楽しめました。 ほいで、キーマンのツアーガイドブラッド登場。 いわゆるガイドしてるぐらいなので、キャンプガチ勢。 森の事なら任しとけ的存在。 ブラッドの彼女ジェンへのアプローチとも捉えかねない言動に、小物のアレックスは「きー!」となって、無駄にマウント取り返す。 で、そっからは転落のはじまり。

めっちゃアテになるブラッド(参照元

現実はエンタメにはほど遠く

後半は、一応ネタバレしない程度に書くと、前半のダルダルなんとは違って「熊とのサバイバル」一辺倒。 本作は、実際にあった話をモチーフにした内容だそうで、後半は特に、正直エンタメ要素30%減です。 そもそもエンタメ要素なぞあったっけ、てのはさておき。

つまり、捉えようによっては、あんまし熊でてきゃーへんし、登場人物も多くないし、退屈な映画とも捉えらえます。

が、そんなドラマチックな出来事が発生しないのが、現実世界。 そう考えると、よりリアルで、個人的には割と緊張感持って最後まで見れました。

え、何これ的な足跡(参照元

熊ばり怖い

とりあえず彼氏アレックスの、「地図も携帯もいらねえ、まぁ任せとけ」が、全然アテならんがな。 というショボさ加減は、我が身に置き換えてみて、しょうもないプライドは捨てなあかん時あるよね、としみじみ。

んで、熊との必死の対決! というよりは、ひたすら逃げるだけ。 んで、どこまでも襲ってくる最強熊という構図。 まぁ実際餌認定されたら、そうなんやろなと思いつつ。。

ついでに、サバイバル要素もあって、ほっといても死ぬのに、熊からも逃げなあかんて、、、こらあかん。 もうあかん。 神様、、、。 となる絶望感が、とても伝わってきて、その辺がとてもいい作品な気しました。

冒頭からずっと、なーんか不穏よねという雰囲気を醸し出す音楽や演出。 ちょいちょい挟み込まれる「おお、山めっちゃ綺麗」みたいな感じも、「まぁ、これ確かに彼女に見せたくなるよね、ええ景色やし」という共感感もありつつ。

身も心もボロボロ(参照元

現実に勝るものなし

オープンウォーターとかブラックウォーターとか、実際にあった事件を映画化のパターンはいくつかありますが、その中でもバランスいい作品な気がします。

何が怖いって「熊の存在」というやつ。 一回目の前で恐ろしい目にあってしまったら、森の中にいて「がさっ」って音がしただけで、「あれってもしかして、、」と思って怖くて怖くてしょうがなくなるやつ。
子供の頃にホラー映画見た後、夜中トイレに行こうとして、いつものカーテンが何かに影に見えて、きゃー! みたいなあれと同じです。

と、これは映画としてモニターごしに見ている世界なので、そんな事言ってられるが、実際に自分家の裏山で似たような事が起きていたらどうだろう。

そもそも、この森林開発に問題があって〜など、語っている暇あらへん。 じゃあ、森林開発しなかったら、こういう問題は起きなかったのかというと、そうでもない気がするし、少なくとも、被害起きている地方の役所とかで、どうにかできる問題でもない気がする。

って語り出すと映画レビューにならへん気しますので、この辺で。
森ん中とか、海とかって、まだまだ、人知の及ばない場所な気しますよね。

リアルなヘタレ人間模様と、熊の恐ろしさ満喫してみたい人はぜひ。