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ART

Maximalism or Minimalism

ART, CULTURE, MUSIC

あらゆる要素を取り込もうとする考え方 = maximal(マキシマル)

余分なもの削ぎ取る考え方 = minimal(ミニマル)

この2つの考え方、哲学は耳にした事があるでしょうが、どっちらが良いかは議論するつもりは無い。 日々生活の中で目の当たりにする環境や音、そして時には芸術の中に影響を与えたりするこの両者。 少なからず時代や時勢での軋轢、葛藤などを経てうまれた経緯は非常に興味深く、心を鷲掴みされたりします。

歴史的な記述を省みると、1915年に、おそらく初の真のミニマルアート作品を創作したのが、ロシア人アーティストのカジミール・マレーヴィチと言われています。 マレーヴィチの代表作は、79.5cm × 79.5cmの白の背景に黒の正方形を配した「黒の正方形」です。 要素が少なくシンプルにも見えるこの作品が、モダンアートに革命を起こしました。 最もシンプルな表現こそが、最も強いインパクトを与えることが可能であり、形式の不在は時に存在よりも力強いことを示したのです。(と同時に非難も浴びています)

「黒の正方形」は、マレーヴィチが東洋哲学に興味を持ったことがきっかけで制作されました。 そして1950年代にニューヨークで禅思想について公開講義を日本人仏教学者、鈴木大拙により行われ、ここにアーティストたちが参加したことで、同世代のアーティストの間で禅の教えへの関心が高まりMinimalismな芸術が生まれてきました。(Minimalismとは通常、1960年代に始まった西洋のモダンアートのムーブメントを指します)

一方、Maximalismは記述的にはMinimalismに対する言葉として紹介される事が多いですが、淵源を辿ると20世紀初頭のパブロ・ピカソから発せられたキュビスム〜コラージュなのかもしれません。 更に此れ等に影響を与えたアフリカン・アートの絵画、音楽、ダンスからMaximalismの素を感じざるを得ない。

20世紀初頭のパリで、若い芸術家のリーダーであったピカソは、後期印象派以降の美術の方向性を模索。 1904年のある日、友人が、トロカデロの丘におもしろい博物館があるというので誘いにやって来ました。 暇つぶしのつもりで出かけたピカソはその博物館の収蔵品に釘付けになってしまいました。 アフリカのマスクや立像を初めて見たピカソは、それまでのヨーロッパ的な手法とは180度違った造形表現を目の当たりにしたのでした。 そして、新しい形や色彩の概念が生まれ、その3年後に、『アビニョンの娘たち』を発表して『キュビスム』という美術運動として開花しました。 ヨーロッパ的な美の概念から外れたアフリカの造形物が、20世紀初頭のパリの若い芸術家たちの心を掴み、新しい美術の創作の扉が開かれたわけです。 アフリカの造形は、ピカソやブラックだけではなく、マチス、モディリアーニ、クレー、レジェ、ブランクーシ、ジャコメッティーやヘンリー・ムーアなど、20世紀初頭の、ほぼすべての芸術家に影響を与えました。 その概念が抽象芸術に発展し、さらに現代美術や映像表現にまで及んでいます。・・・(一般財団法人アフリカンアートミュージアム 記述より)

伝統的なやり方に代わる、新しい手法であるオルタナティブな精神が、とあるライブハウスに宿っていた。 1940年代初頭に生まれた「BE BOP」と呼ばれるjazzの発展において大きな役割を果たしたMinton’s Playhouseがその場所であり、モダンジャズの扉を開いた地であります。 この中心にいたチャーリー・パーカーによる目まぐるしいコード進行(maximalな音構成)は疾走感と熱さをjazzに吹き込み、その側にいたマイルス・デイビスは彼が亡くなった後、逆に削ぎ落とす作業(minimalな音構成)を行い新たなjazzを世に知らしめる。 この流れは非常に興味深く、現代にも影響を与えています。 下の映像を是非観て頂きたい。非常に分かりやすく解説していますので。

BE BOPは編成4人ぐらいで、それまでのBIG BANDでの構成と比較すると非常に少人数編成です。 其処をみるとminimalですが音楽を聴くとmaximalであり結果革新的な流れを作っています。 更にマイルスは、この流れの中の限界(コード進行を主体としたため、制限が生じる)から改めてモードに基づく旋律による進行に変更させたモード・ジャズの成功者となります。 このminimalな行為はその後の音楽や、更にはモダンアートでのMinimalismムーブメントと時同じくして重なるところが興味深いところです。

史実的な流れの一部を掻い摘んできましたがこの見方で現在、身近にあるモノや音楽にも感じ取れるはずなので一度、耳をすまして眼をこらしてみて下さい。 何か発見があるかもしれませんね。