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ベースとドラムの間には、宇宙的空間が存在する / 或るベーシストの思考回路 ②

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こんにちは、ベーシストの泉尚也です。
今回は、ベースマンの思考回路の中でも大事なドラムとの関係について書きたいと思います。

私が高校2年生の時に最初にバンドで音を出した時、ドラムのサウンドとベースが合わさった時の空間が、今まで経験したことのないとても気持ちよい空間と感じ、バンドでベースを弾く事に病み付きになりました。

キックとベースが上手く合った時や、ハイハットとフレーズがシンクロしたとき、などなど数えきれない組み合わせがありますが、それぞれの音が更に説得力をもつ感じが、本当に素晴らしいと思いました。

その言葉で表現出来ない音空間の魅力に未だ引かれている事が、45年近くベースを弾き続けている理由の一つです。

バンド経験のあるベーシストの方ならお解りでしょうが、この楽器ほど一人で弾いてる時と、アンサンブルの中で弾いた時のギャップが大きい楽器は、他に無いですよね。一人で弾いててもそんなに面白くない単純なフレーズが、バンドの中ではとても楽しく面白い。他のパートにはない魅力が、ベースというパートを演奏する時にある、という事なんですね。

近年、ベースの単独ソロでステージに立ったり、ドラムレスのユニットで演奏する事も増えましたが、やはりベースという楽器はドラムと合わさって、よりプレイが引き立つパートであると、改めて思います。

昔はドラムがいない編成で演奏するのは嫌いだったのですが、ドラムレスでの演奏もある時期から、聞き手が「ベースのプレイからドラムのパターンも感じられるし聞こえてくる」というのを目指してプレイするようにしてみると、一気にイメージと自由度が拡がりました。

そういう事も経験して思うのは、ベースを一人で弾いている時は、ドラムのパターンや全体のサウンドのイメージを持ちながら弾く事が大切ですね。

なんせアンサンブルを司る大事なパートですから。

10年以上前になりますが、ベースとボーカルというユニットを色んなボーカリストと始めました。
ボーカルとベース二人だけで表現できる世界を追求したかったのです。

音楽の3要素と言われる、1.メロディ と 2.リズム(ベースは打楽器ではないがリズム楽器でもあります)は満たしていると。
でも 3.の “ハーモニー” を受け持つパートは無い事になるのですが、ベースとメロディとの間にもハーモニーは存在すると思ったのです。たった2音ではありますが。

そして以前から感じていた、通常のアンサンブルの楽曲の中で横軸に絡み合うメロディとベースの空間も、このシンプルな編成で浮き彫りにして表現したかったのです。和声的に難しいタイプの曲調のものも多々ありましたが、それぞれの楽器同士の空間を上手く表現出来たと思います。

そして、ドラムとベースの空間を更に追求しようと思ったのが、私の3枚目のソロアルバム『Spatio Temporal Trip』です。

最初にドラマー(韻シストのTarow-One)と私二人だけでスタジオに入り、色んなパターンをレコーディングしていきました。

当初はドラムとベースだけのデュオアルバムにしようと思い、内容的には二人だけでも成立する面白いものが録れたのですが、やはりちょっとマニアック過ぎると思い、後からサックスやギターをダビングしていきました。それによりドラムとベースの空間も、より活きてくると思ったからです。

さて、色々書きましたが今回はそんなベーシストは、その「ベースとドラムの間の宇宙的空間」を生きる糧として、自分たちしか解らない密かな愉しみと思ってるベースマンが多いかと(笑)

ではまた次回!