ベースラインって?~アンサンブルの中の小宇宙【その2】/ 或るベーシストの思考回路 ④
こんにちは。ベーシストの泉尚也です。
前回は、ベースラインの役割について話しました。
今回は、『演奏の現場でベースラインの役割を考えながら、ベーシストは何を考えて弾いているか』
について話していきたいと思います。
演奏する時の大事なポイント
僕が実際演奏する時に、大事にしているポイントは、
① 全体を通してそれぞれの場面の音量のダイナミクス(大小)を考える。
② どうすればメロディーを活かす事が出来るか、というベースラインを考える。
③ 各パートの間を取り持つ存在(ポジション)を考える。
です。
詳しく解説していくと、
① 全体を通してそれぞれの場面の音量のダイナミクス(大小)を考える。
①は、その楽曲の構成を考え、よりドラマティックになるようにベースの音量で全体のアンサンブルのダイナミクス(音量差)をコントロールする事です。
ベースの音量って、ドラムに比べて一定したイメージがあるかも知れないですが、特に生演奏のステージに於いてはベースの音量の大小で、全体の音量感も違って聞こえるのです。
これはドラマーと共に構築していくべき物なのですが、優秀なドラマーはベースの音量の変化を直ぐに汲み取ってくれて合わせてくれるのです。阿吽の呼吸で。
これが上手くいかないと、一緒に曲のドラマの組み立てが出来ません。
② どうすればメロディーを活かす事が出来るか、というベースラインを考える。
②は、前回に述べた「コード進行や全体の曲の流れを導く」を更に発展させた思考です。
ベースラインは、ハーモニー的にメロディーを支えながら、横の流れを考えると言う事です。
ベースはメロディと同じ、もしくは近いラインをなぞる、と言うのは禁則なんです。(但しアレンジとして敢えてメロディーをなぞる事は多々あります。)
ですが、メロディーの音程ではなく、その旋律のリズムを上手く合わせながら(特にボーカルの場合)メロディーをベースラインの上に乗せてやる、と言う事を考えてるのです。
なので、ベースとメロディだけで音楽が成立する、くらいのレベルであるべき、と。
③ 各パートの間を取り持つ存在(ポジション)を考える。
③は、アンサンブルの上で、各パートをより引き立たせる~お好み焼きで言う「つなぎ」的役割、
そう言う立ち位置を考えながらプレイする、と言う事です。
これは勿論①に繋がる事ですが、出来る限り各パートのプレイを聞きながらプレイして、ムードメーカー的存在と言う事を意識してプレイに反映する、って事になります。
またまたマニアックな話になりましたが、自分がこのポイントが常にクリア出来てはいません。
なかなか難しいですが、出来るだけ全てのポイントが成立する様に日々頑張っております。
でも実際の演奏の現場では、
「あ、ドラムのフィルとベースのフィルが噛み合わなかった!」
「あれ、ボーカルのリズムのノリと、バックのリズムのノリが違う~」
「あれ、ピアノとギターのノリが違う、、、ベースのノリやリズムはどうしよう?どっちに付けていく?」
みたいな事が多々あります。
その話はまたの機会に!