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狩猟 / #3 二頭目
#3 二頭目
初猟で80kg級の大物を捕獲。
ビギナーズラックというものを体験しました。
ひとまず、今期ボウズを免れてホッと一息。
知人友人、お客さんにも
「狩猟免許取りましたー」
なんて、言うてみたものの、
「いやぁ、けどまだ自分では獲ったことなくて、むにゃむにゃ。。。」
と、言葉濁してましたが、これで何とか胸張って猟師と言えそう。
勢いに乗って2頭目も獲りたいところですが、コロナ禍とはいえ12月。
いつ罠に掛かるか判らないのが、罠猟の難しいところ。
精肉まで考えると大きさにもよりますが、新米の僕には獲ってから3日程は猪作業。
あまりギリギリまで粘ると、本業に支障をきたすと判断。
年末の御節料理の準備もあるので、早々に一度罠を全て回収。
これにて年内の猟は一旦終了。
お疲れ様と自分を労いたいところですが、ここからが本番。
年内に一頭獲れたのは、とても大きな意味がある。
自ら罠を仕掛け、捕獲して、仕留める。
一頭の猪の命をもらい、手を合わせ感謝する。
それを僕らは生きるために食べる。
この命に感謝して食べるということ、みんなと共有できたらなと常々思ってるんですが、
「めちゃ、いいタイミングやん」
そう、今年自分で罠を仕掛けるってなった時から思ってたこと。
「年内に獲れたら、御節に猪肉を使う」
御節料理は、健康や子孫繁栄、長寿、五穀豊穣など新しい年の実りを祈るため、
食材に色々な縁起や願い込めて料理します。
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猪肉はローストに。
パワー漲る猪肉を、命への感謝の気持ちを込めて自分の御節料理に盛り込めた事は
本当に嬉しく、有難いことでした。
御節作りも無事に終え、年始はゆっくり。
とはいえ、ソワソワ。
正月があけると、約2週間ぶりの山へ。
行くとビックリ。
そこらじゅう、獣の足跡や糞だらけ。
これはまだまだチャンスがあると、鼻息荒く新たに罠をしかける。
1日、2日。
気配はある。
3日、4日。
餌は食べに来ている。もう少し辛抱。
1週間過ぎた辺りから、自分の罠に自信が無くなりどんどん不安になる。
さっぱり気配のないところは潔く諦め罠を外し、また別の場所へ罠を設置を繰り返す。
コロナで店もゆっくり、猟も罠に掛からず静かな日々。
これはチャンスと、11月に獲れた初のアライグマと12月の初のイノシシでベーコンを作ることに。
秘伝のソミュール液に漬け込み、燻製。
さすが、80kg級の猪のバラ肉は立派で美味しそうなベーコンが完成しました。
一方アライグマは、見た目は猪同様、美味しそうに仕上がったものの、一切れ口に運ぶと。
臭い。。。
なんともいえない臭さ。
脳みそが揺れる重たい感じ。
多分脂がダメなんだろう。
危険を感じ、アライグマ肉は破棄。
インターネットで色々調べたが、
「アライグマですき焼きしました、めちゃ美味かったです」
みたいな強者もいて、人の味覚の違いに驚いたと同時に、他人の味覚は信用できないと思いました。
血抜きが上手にできると 美味しいらしいがそれを差し引いても、疑問が残る臭さ。
何はともあれ、猪のベーコンは美味しいものできたんでよかったです。
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1月の大雪の日。池は凍りついてます。
年明けから1ヶ月ノーヒット。
さすがに焦ってきた2月初旬。
罠が作動しているのが遠くからでも確認できる。
やっときた。
念願の2頭目。
獣ってすごいもので、気配消されると、周りの色に同化して慣れないと全然何処にいるか判らない時がある。
なので不用意に近づくと目の前にいましたなんて事になりかねないので、恐る恐る近づいてみる。
ん。
小さい。
縞々の尻尾。
アライグマだ。
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安全に捕獲する為の道具に噛みつくアライグマ。
人間様の超絶勝手な理屈とはいえ、駆除対象の外来生物。
農家さんも困っているので、捕獲するしかない。
小さく小回りが効く上、獰猛なので、猪とはまた違った怖さがある。
あまりナメてるとガブッと噛まれそう。
本来なら生捕りにして食べる方法考えるのだけれど、脳みそを揺らすあの臭さが甦る。
可哀想ではあるが今回は土に還ってもらう事にした。
こちらの一方的な都合で自分より小さい命を殺めるのは、心をギュッと締め付けられる。
かといって躊躇すると、かえって苦しめることになるので、やるときはなるべく苦しみが続かないように一発で仕留めるほうがいい。
一発で、と思い心を鬼にして仕留めに掛かるが、足場が悪いことやアライグマがが小さく急所を狙いにくいことが災い、気を失うのに数発かかってしまった。
ごめんなさい。
帰り道、いつもは山に入る前の挨拶と獲物が獲れた時の感謝を伝える
その土地の氏神様に寄り、手を合わせ成仏を祈りました。
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いつも挨拶する六条八幡宮。銀杏の木が素晴らしい。
ただ凹んでいても仕方がないので、気持ちを切り替えまた罠を仕掛ける。
猟期も残すところ1ヶ月ちょっとになってきた。
さすがにもう一頭くらいは猪を獲りたい。
毎回、山に入ると猪がどの道をよく通っているか観察する。
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通っていそうな場所に枝を立てかける。倒れていれば、どちら向きに倒れているかを確認。
そうすると、一本ほぼ毎日のように通っている道があることが判ってきた。
確実に獲りたかったので、慎重に慎重を重ねる。
足跡を見つけ、罠を括るための頑丈な木を探す。
足跡も見つけた、近くに頑丈そうな木も見つけた。
あとは罠を仕掛けるだけ。
今仕掛けてしまうと臭いや痕跡で警戒される気がしたので、雨が降るのを待つことにした。
雨は、僕らの臭いを流し、地を慣らし痕跡を消してくれる。
なので、雨が降る前日に罠を仕掛けると罠に掛かる確率がグンと上がる。
場所を決めてから約2週間、遂に待ち望んだ雨予報。
丁寧に土を退け、罠を仕込む。
バレないようにワイヤーを土や葉っぱでカモフラージュ。
罠の上を踏むように、誘導する仕掛けをする。
あとは、雨が僕の気配を消してくれれば完璧なはず。
#4につづく