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映画レビュー ~ちゃんとしたエンタメサスペンス映画「オールド」~

CULTURE, LIFE STYLE

ここ10年ぐらい振り返った時、わっけわからん設定の映画多い気しますよね。

  • 半径〜mに近づいたら即死
  • 起きたらループし続ける毎日
  • 物音立てたら化け物に襲われる
  • なんかわからんけど、ずっと追っかけてくる呪い
  • 悪魔かなんかわからんけど襲ってくるやつ
  • 電気消した時だけ現れる化け物

とかとか。

この手の作品、一部を除き、出オチ感ありありなのである。
どういうことかというと、

設定はおもろいんけど、オチめっちゃ雑やん

そう、多分設定考えておもろなって映画作ったけど「どうやって終わるんか考えてへんかったし、まぁなんとなく終わらしとけ」というパターン。 大体がして、「まだまだ続くぜ」的か「なんとなく収束しました、ちゃんちゃん」というパターンが多め。

そんな中、本作品ですが、さすがのM・ナイト・シャマラン監督。 アングラファン的には、ちょっとちゃんとまとめすぎですやん、という終わり方で賛否両論な気しますが、なんつーか、わけわからんB級作品や出来の悪いコスパの悪い映画じゃなくて、

ちょっと変わってっけど、ちゃんとしてます僕

的映画が好きな人におすすめ作品である。 では、はりきっていきましょう〜

オールド

監督 M・ナイト・シャマラン
2021年製作 / 108分 / アメリカ
配給:東宝東和
オフィシャルサイト
https://www.universalpictures.jp/micro/old

ストーリー

人里離れた美しいビーチに、バカンスを過ごすためやってきた複数の家族。 それぞれが楽しいひと時を過ごしていたが、そのうちのひとりの母親が、姿が見えなくなった息子を探しはじめた。 ビーチにいるほかの家族にも、息子の行方を尋ねる母親。 そんな彼女の前に、「僕はここにいるよ」と息子が姿を現す。 しかし、6歳の少年だった息子は、少し目を離したすきに青年へと急成長していた。 やがて彼らは、それぞれが急速に年老いていくことに気づく。 ビーチにいた人々はすぐにその場を離れようとするが、なぜか意識を失ってしまうなど脱出することができず・・・。

多少無理あるしツッコミどころあるけど、自分に重ねると恐ろしい

予告やティザーで見れるのでネタバレには該当しない気もするが、この映画、端的に言うとあるビーチに行ったら「急に年とってしまう」話。
ちょっと年食うとかいうレベルじゃなくて、一晩で親は老人になり、死を迎え、8歳や10歳の子供だった登場人物は、成人し、うっかりセックスを覚え、うっかり妊娠〜出産まで経験してしまう。

一晩で大人になる子供達(参照元

いやいや、笑い事やあらへん(参照元

文字通りの早回し感

人は年月を重ねていく中で、パートナーと喧嘩もするし、ややこしい性格になっていったり、もしくは晩年は認知症に近い状態で、傍目には穏やかに最期を迎える人もいる。 それが普通の「一生を終える」ことかと思われる。

が、それが一晩二晩で進行してしまうとしたら。 なかなかに例えようのない恐怖だと思う。 それこそ、ゾンビに襲われてぎゃーより妙なリアリティがある。 要は想像しやすい。

そら、遠い目なります(参照元

これぞ恐怖ですよね

監督のナイトシャマランはシックスセンスとかが有名な監督だが、SFっぽい主題をおきつつも、その実、裏にあるテーマは、いつも「人間性」みたいな印象。

本作品も、本来は30年とかかけて構築されるだろう人間関係や、人の成長と衰退、そして死に至るまでを数日で進行してしまうところで、争おうとする人や諦める人、その過程で露見されるだろう「人間性」の変化を、よりによって親子や兄弟といった親密な関係で目の当たりにしなければならない残酷。

スピード感が半端ない

そんなわけで、あっという間な展開。 また、あっという間に主人公たちだけ年老いていく展開は、ある種現代的な余白のないスピード感でサクサク見れます。

オチはいいませんが、一応明確な原因もはっきりし、ある種のハッピーエンドに終わる、、、 いや、全然ハッピーちゃうな。 な、もやもやした終わり方は、ナイトシャマランらしい「エンタメ」として成立していて、さまざま嗜好の人でも楽しめること必至かと思われます。

アメリカあるあるな離婚問題や人種問題抱え気味(参照元

イメージのわきやすさは恐怖ですよね

めっちゃえぐい拷問シーンが続く映画やパンデミックな世界中の人感染系映画とかも、身近な人がバタバタ死んでいったり、謎の生き物化していく様は怖くもあるが、「老いる」という、誰しもが逃れることなく、その必然の中でゆっくり受け入れていく時間が短縮されるという設定は、10年前の自分と自分の身近な人を見れば容易に想像のつく設定で、とても恐怖でした。

端的に言うと、この映画は極端な例だとしても、遅いだけでこの瞬間も我々は老いていて、尊い瞬間ですよねと、ベタに感銘を受けるのでした。

・・・

しばらく合間おいて、また見ると印象違うんかもなーな良質作品でした。