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死の水槽 → 復活への道 → 再び崩壊の兆し。~あるアクアリストの作業日誌~ / 打と居と魚:魚の四

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死の水槽 → 復活への道 → 再び崩壊の兆し。~あるアクアリストの作業日誌~

さて、前回は水槽が崩壊した模様をお伝えしました。

野生採取株とファームもの、レア水草とは??・・とか言ってたら緊急事態!? / 打と居と魚:魚の三

水槽の崩壊とはすなわち、ミクロコスモスたる擬似生態系のバランスが崩れることでありまして、それによって我がメイン・タンクの生体の多くが命を落としました。

 

【犠牲者】
    • シルバー・フライングフォックス・・・2名
    • アベニー・パファー・・・2名
    • ミクロラスボラ・アクセルロディ・ブルー・・・3名
    • スファエリクティス・セラタネンシス・・・1名
    • ラミノーズ・テトラ・・・1名
    • オトシン・ネグロ・・・6名
    • コリドラス・ジュリー・・・1名
【生き残り】
    • コリドラス・アエネウス(アルビノ)=白コリ・・・1名
    • レッドチェリー・シュリンプ・・・30名強
    • ヒラ巻貝・・・多数
    • 水ゲジ・・・多数

 

人工的に作り上げた生態系ですから、それが壊れる時の原因は100%人為的ミスに由来すると言えましょう。
端的に言うと、知識不足、慢心、怠けること、これであります。

メイン・タンクの崩壊は、「冷凍の赤虫にも賞味期限が存在する」と言うことを知らなかった私の無知由来のミスということは明白なのです。

「水草水槽」へとスイッチしていた理由が「小魚は寿命が短い」ということから来ていたにも関わらず、水草に注力する余りに生体への配慮が欠けていたわけです。 まさに、無知と慢心と怠惰が引き起こした崩壊です。

しかし、多数の水草と、たった一匹生き残った白コリ、それから崩壊の原因が酸素不足と確信させてくれたレッドチェリーシュリンプ(以下:赤エビ)30数匹のため、それらの居住地を復活させねばならぬのです。

以下、その記録です。

2/12:水槽崩壊当日、帰宅後の夜間作業。
  1. 飼育水の全抜きと白コリの引越し → メダカと水草ストックの為の45センチスリム水槽へ。
  2. 濾過器、ろ材等外部機器全ての煮沸消毒
  3. 注水
  4. 二十四時間エアレーションをスタート

この時はまだ、病原体の蔓延を疑っていましたので、煮沸消毒という工程を踏みました。 注水後は透明な水が蘇りましたが、底床と水草に病原体がついているとすると根本的な解決にはなりません。
しかし、丸々2~3日は必要な「リセット」をする時間はなかったのです。

2/13:重要な発見。
  • 赤エビがエアストーンの周りに集まっている

2/14:重要な二つの発見。
  • 赤エビがエアストーンから離れたところで活動しだした。
  • 水草ストック水槽に避難させた白コリの完全復調と先住のメダカ達の健在。

~2/17:崩壊の原因に確信を持つに至る → フィルター(濾過器)再稼働
  • 赤エビが水槽の至る所で活動。

結論: 水槽崩壊の原因は病原体ではなく酸素欠乏。

理由: 赤エビがエアストーンに群がっていたのは酸素欠乏の証拠。 24時間エアレにより酸素が潤沢になるに従い、活動範囲を広げたのもその証左。 移住した白コリも移住先のメダカも赤エビも健康に生存し続けている(病原菌が伝染していない)。
→ 病原菌の存在が疑われる場合、フィルターで水を回せば、せっかく煮沸消毒した「ろ材」に住居を提供することになるので控えていた → 解禁。

今後は?: 然し乍ら、アンモニアおよび亜硝酸を分解するバクテリアは死滅したはずなので、底床内に堆積した積年のデトリタス(生物遺体や生物由来の物質の破片や微生物の死骸)をそのままにしておいては、生き残った赤エビ達にとって危険な状態になるやもしれぬ。

ので!

作戦: 約20×20cmずつ! 水草を移動しながらの! 完膚なきまでの底床掃除!!
2/18:ミッション・スタート
  1. 草撤去
  2. 掃除
  3. 大磯砂を適宜汲み出し(大磯砂に化粧砂や立ち上げ時に使った日向土が混入しているので、抜き出し、選り分け、念のため熱湯をかけ、天日干し)。

3/2:ミッション完了

  • ミッションは水槽の左手前から始まって、活着系はそのまま水槽内に浮かべっ放し。 するとスペースが空くので別の場所の水草を移動してきて植えて・・・を交互に、ジグザグに行い、終着点は右手前となりました。



と、

2/17から3/2までの2週間、ミッションは2~3日に一回行われたわけですが、その間フィルターは回り続け、底床掃除すなわち換水とセットでありますから、いわゆる「水槽立ち上げ」初期の「水を回す」状態を兼ねておりました。

かつ、常に底床からデトリタスを巻き上げていたわけで、その後、生体をお迎えした* 後に1週間経ってもアンモニア、亜硝酸が検出されなかったのは、そのせいではないかと(というか、エビは生息してましたし)。
つまり、この二週間は新規水槽立ち上げの時とは違い、最初から老廃物が水槽内に存在していたので、それらを分解すべく、少しずつバクテリアが増えていたのではないかと。

・・・うん??
ちょっと待てい!!

「生体をお迎えした・・・」??

3/3:アノマロクロミス・トーマシーのお迎え。

水づくり、という言葉があります。
何度も申しますように、水槽で生き物を飼うには、特に熱帯魚を飼うには真水ではダメです。人工的に自然環境を作り上げなくてはなりません。

キモはバクテリア。

生体にとって最も有毒な、しかし生体が必ず排出するアンモニアを分解するバクテリアが必要で、次にアンモニアが分解されて出来た亜硝酸を分解するバクテリアの発生を待たねばなりません。

おわかりでしょうか?

生体が無理なく生息するためにはバクテリアが必要

そうは言っても、はじめはバクテリアがいない
アンモニアの発生源(生体)が必要
生体を入れる
でもバクテリアは居ない
はじめに入れられる魚は大変!!

もし、全くサラの水槽であれば、最初に迎えられる魚は自分の出す排泄物によって、自死の可能性があるってことです。
そんなわけで、はじめに入れられる魚は、パイロット・フィッシュと呼ばれ、基本的に強健種が選ばれます。
あるいは、水質に煩くない普通種の成魚。身体が出来上がっていれば環境の変化にも耐えやすい、と。

幸いにも、我が水槽には大きなアドバンテージがあります。
60×45cmの水量というのは、お魚数匹程度には圧倒的に余裕がありますし、水草も沢山(水草は先ずはアンモニアから消費するようです)。
ならば、無理に強健種を探さずとも何とかなるであろうと。

そして、重要なことは、立ち上げの為のパイロットフィッシュとはいえ、その後も飼い続ける何がしかの魅力を併せ持つこと。

そんなわけでこちら、アノマロクロミス・トーマシーを2匹お迎えしました。
4~5センチの成魚サイズ。

水槽復活後、初のお魚でありますから、入念な水合わせをすべくビニール袋内のショップの水と本水槽のpHを測ってみますと、ショップ水はpH5以下ですぞ・・・。
対して我が水槽は7.2くらい?
両方の水のpHを揃えてっと、約6.8・・・でいらっしゃいませ。

ショップの水

メインタンクのpH

二つを揃える

3/4:あくる日。

こんな地味っ子であります。

3/5:赤エビも元気、トーマシーも元気ってことで、唯一の生き残りの白コリも帰還。

トーマシー、バンド(縞模様)が出てきましたね。

3/7:この頃は混泳がうまくいってますね。

のちに、またもや自分の無知と慢心を悔やむことになります。
何故過ちを繰り返すのか・・・。

ちなみに、トーマシーはスネール・バスター(貝を食べます)として有名です。

そもそもの水槽崩壊のきっかけである賞味期限切れの赤虫は、水槽内に発生したヒラ巻貝を駆逐してもらおうと導入した淡水フグ(アベニー・パファー)の為に投入されたものでした。
すなわち、ヒラ巻貝が水槽内に混入しなければ崩壊もなかったわけで、トーマシーを真っ先にお迎えしたのは、

「水草水槽としてのアクア趣味における、水質維持のための(スネールの殻は水質をアルカリに傾ける)タンクメイト」

という意味合いが強かったのであります。
噂通り、この頃にはヒラ巻貝を駆逐しました。

・・・しかし、ヒラ巻貝を食い尽くした彼らが次に狙ったのは赤エビ・・・。

・・・しかし、しかし、同じスネール・バスターの淡水フグと赤エビの攻防から、赤エビたちの危機察知能力とすばしこさを知っていた私は、特に心配もしませんでした。 これも慢心でしたが・・・(明くる朝から赤エビは姿を消しました)。

3/10:導入から1週間。

地味っ子から綺麗な魚に変身。

「飼い込むことによって体色が美しく・・・」というフレーズは聞き飽きてる私ですが、実感したことがありませんでした。

ここまで変貌するとは!!
「飼い込む」・・・恐るべし。

というか、1週間経ってもアンモニア、亜硝酸、硝酸塩検出されず。

3/12:産卵!!!

産卵て、おい!!
出ました、慢心、知識不足。

トーマシーが繁殖容易種と知りながら、「寂しいだろう」とペアでお迎えしたのには、

「まーさか、立ち上げ初期の水質が不安定な環境で繁殖なんてナイナイ! 今後導入予定のサイヤミさんオトシン・ネグロも大きくなるだろし、さすれば、自然に任せておけば増えすぎることはあるまい」

という慢心がありました。

この、斑入りのアヌビアスナナの後ろ・・・

タイガーロータス・グリーンの葉っぱに、すんごい数を産みつけてますわ。

3/15:内心ホッとする私@卵が消失しました。

でも、やたらと一箇所を守る仕草をする雌。

トーマシーの属する、シクリッドという種類のお魚は、なんと子育てをします。卵を守ったり、孵化途中で動けない状態の卵を引越しさせることがあるそうな・・・。
でも、なんぼ目を凝らしても、な~んもないんですよ。
さすれば、いわゆる「成長すると縄張りを主張する」ってキャラクターができたってこと??

それはそうと、水槽に苔が出だしたのですが、そこに奴らのうねった跡が・・・。どうも貝の駆逐は完了してなかった模様。

卵も消えたことだし、オトシン・ネグロを導入しますか・・・。

3/18:オトシン・ネグロ ×5 を導入。

2センチ程の個体ばかりなので、暫くは苔取りは期待できません。

3/19:おったんかい!!

夥しい数の稚魚発見。

どこをどう見てもおらんかったのに、おったんかい!!

としか言いようがない。
多分、100はおる。
100いうたかて数ミリの体躯ですから、ろ過能力としては余裕綽々。
ただし、1センチ、2センチと大きくなっていくと、過密極まり無く、ある日ろ過能力を超えますな=再び崩壊・・・。

ていうか、どこが水草水槽やねん!!

間違いありません。
魚って死ぬ! 水草! 水草にシフト!
という姿勢が、いつしか生体をないがしろにしてきた。
その報い@無知と慢心と怠惰の罰、ですわ。
今後の稚魚たちの成長とともに、水草水槽というよりはお魚過密水槽になる。 しかも、こやつらは縄張り意識が強く・・・「殺伐としたお魚水槽」になる・・・。

が、とりあえず、ベビー・ブラインシュリンプ(冷凍餌)を買いに行こう・・・。

冷凍餌で崩壊した水槽のパイロット・フィッシュが産んだ、再び水槽を破壊するかもしれない魚群の為に冷凍餌を買いに行く・・・。

なんたる皮肉!!

ま、いうてもしゃーない。
トーマシーの子育て動画をどうぞ。

もんの凄い群泳な訳ですが、群れを雌雄一体となってガード。
群れから離れそうな稚魚をパクッ!(動画の4秒)
そっち行くな、ぺっ!(動画7秒)

という様子がお分かりでしょうか。
うーん、この動画ではどっちかというと、

腹減った! パクッ!
ん??(・・・まちごうた)ペッ!
・・・に見えますけど、親はず~っと、パクッ! ペッ! とやってます。

それから、この巨大群泳親子が、水槽を我が物にしてしもうて他魚を排斥します。
白コリの方がずーっと先輩の住人なのに可哀想なくらい。
白コリは成魚なのでたまに姿を現しますが、2センチ級のスカベンジャー(苔取り部隊)は、稚魚を襲うなどあり得ない体格なのに、トーマシーカップルに完全に制圧され、姿を表すことがありません。

水草による隠れ家だらけなのが不幸中の幸いですが、苔取り任務を遂行することは不可能でして、成魚になるまでなんとか無事でいてくれよ、と。

さぁ、非常に長くなりましたが、当面はこやつらを育てるしかないですね。ただし、こやつらを捕食する敵がいない以上、1~2か月後には過密水槽になることでしょう。
そして、それは水槽崩壊へと続く道。

いいや、崩壊を繰り返してはならぬ!!

ならば、別のルートを確保しつつ、水槽が崩壊する直前にウルトラCを!

  • 別ルート: 引き取ってくれるショップ3軒、ブリーダーさん1人と話はついた → 確保!
  • ウルトラC: 我が水槽からの移動と引越しに耐えうる体力がついた瞬間に里子へ → タイミング命!

アクア趣味を始めて以来の難しい状況ですが、なんとか乗り切らねば。

最後に、魚群近影をお送りします。