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魚の五:水草水槽への回帰(生態導入の教訓とクリプトコリネ) / 打と居と魚

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※ パーカッショニスト木村和人による寄稿は、打楽器奏者目線の「打カテゴリ」、DIY関連の「居カテゴリ」、アクアリウム関連の「魚カテゴリ」、三つのテーマでお届けしております。

・・・直前の寄稿は「打の四」であり、その次回予告では「居カテゴリー」へ寄稿を宣言しましたが、アクアに大きな動きがありましたので、内容を変更し・・・

「魚の五:水草水槽への回帰」
をお送りします。

魚の五:水草水槽への回帰

前回までのあらすじ
  • 2月に生体がほぼ全滅し、水槽が崩壊&復旧作業。
  • 3月にパイロットフィッシュとしてトーマシーを導入。
  • 導入三日目にして産卵&孵化。100匹前後の稚魚が産まれる。

魚の四:死の水槽 → 復活への道 → 再び崩壊の兆し。~あるアクアリストの作業日誌~ / 打と居と魚

トーマシーの育児と旅立ち

崩壊後は水草水槽としての体をなさずに、ひたすらトーマシーの動向を見守る5ヶ月でした。
60 × 45 × 45 というキャパシティーは、成魚の最大体長5~6センチというトーマシーが100匹生存できるものではなく、まだ体長が数ミリの時点で自然にその数は減少していきました。

また、数ミリという体長は、水草が植栽されている水槽においては、よほど目立つ位置に現れない限り目視することは不可能で、落ちていった個体を目にすることはありませんでした。

そして、成長を見守ること3カ月。

1~2センチほどになり、各個体がしっかりしだしたのを見計らって、捕獲 → サテライトへ移動開始。
30匹と言ってももこれが全部育つとなると、我が水槽は水草水槽… キャパ・オーバーなのであります。

一回目は、網攻撃など青天の霹靂…のトーマシー達はサクサク捕獲することができましたが、あと5匹…くらいから全くつかまえられず、全員捕獲するのに2週間以上かかりました。

ところで、その間、親魚はあまりにも傍若無人につき、併設している金魚水槽に移動してもらいました。 金魚は15センチはありますから、少しは大人しくなるかな…と。
自分の三倍ほどの体躯を持つ金魚は、メスにはストレスだったようで陰に隠れるようになったので、元の熱帯魚水槽に戻しましたが、その後☆に…。
対して、オスはストレスどころか(同種でも個体差がありますね…)、金魚を突きまくり、その攻撃は鱗が禿げるほど。

う~む。
うちの水槽とは相性が悪いな…ということで、親子ともども アクア・テイラーズ さんへ引き取っていただきました。

教訓:
生体の導入は、下調べしても下調べしすぎることはない。
特に繁殖可能種は、繁殖&生育難易度も把握しておかないとダメ。

クリプトコリネと水草水槽への回帰

さて!
トーマシーを送り終え帰宅した私は、ある変化を発見し小躍りしました。

クリプトコリネ・キーが、ランナーを展開しとる!
しかも、2発!

左が親株、ガラス面に沿って右へ子株が二つ。

「クリプトコリネ」とは東南アジア原産のサトイモ科の水草でして、改良品種からワイルド株、育成容易種から難易種まで、とても多くの種類が流通しています。
とあるお店では、数十年前は、研究目的で日本に入ってきたものを、数十万で手に入れていたとか…。
そういう希少株が増殖され、個人間で売買され…、場合によってはファームが増殖に成功してさらに流通経路が拡大…となりますと、値が落ち着いて一般的にも流通…ということになるようです(といっても、キーは一株5千円なので一般的な水草の中では高価な部類)。

そして、この草の最大の特徴が、

ある日一斉に溶け始める・・・

ということで、僅かな水質の変化を察知して、自分の身体を溶かす性質を持っています。
なんたるミステリー。

水草の師匠、Roots(*店舗詳細は文末に記載)さんによれば、「溶け」を経験せずしてクリプトをやったとは言えない…とのことですが、実は私チェリーボーイであります。

クリプトの中では強健種と言われるウェンティー達は、モサらせた経験がありますが、少し難しい種のヌーリー、キー、ヒュードロイ、ストリオラータ、シルバークイーン…を「溶ける」はおろか、繁茂させることができず、矮小化からの消滅…を繰り返してきました。

ゆえに、キーの子株展開は小躍り案件です。
先ほどの画像では、特に緑が綺麗でもなく茶色っぽ~い雑草としか見えませんが、このクリプトは葉っぱに凸凹が現れて、とてもカッコ良いのです。

DISCOVERY PLANET というサイトに、たくさんのクリプトコリネの自生地の画像がありますので、その勇姿をご覧になってみてください。
少しは、私の小躍りの理由がお分かりいただけるかと…。

▼ DISCOVERY PLANETさんのクリプトコリネ・キーのページ
http://www.displa.org/Cryptocoryne-keei-nature2.htm

▼ DISCOVERY PLANETさんのクリプトの再生リスト
https://youtube.com/playlist?list=PLm28f1w9Xbrdpw6rBf8a139nX1yI19M_E

ここ数年、実はクリプト育成は無理なんじゃないかな?
と、諦めておりました。

なんせ、一つ一つの水草には、その種固有に最適の水質というのがあるわけで、いろんな水草を育成している限り、ええとこ最大公約数的水質を用意できるのみ…なわけで、育つのもありゃ、育たないのもある、と。

が、魔が差して? キーを導入したのはなぜかというと、Rootsさんのキー水槽、底床が大磯なのを思い出したからです。
うちも大磯。

ソイルの出現が水草育成の難易度を大きく下げた部分があり、それは革命的なことだった模様で、ソイルを使用することによりpHが、大抵の水草の好む弱酸性に維持されるようになったと。
対して、砂利である大磯砂は硬度をあげたり、貝殻が含まれていたりで、pHをアルカリ方面に…という具合で。
酸処理という方法もありつつ、説明がまた長くなるので割愛しつつ、何れにせよ、最近はpHが6.5付近で安定してきた我が大磯水槽。

なれば、大磯に植わっているRootsさんのキーを移植すれば、あるいは?? という希望の元の導入でありました。

果たして、子株展開で小躍りしながらDISCOVERY PLANETさんの現地の水質データを見ると・・・pH7.3??

ギェ~! 頑張って弱酸性を目指さなくてもよかった??

いやいや、他の多くの水草が弱酸性が好きなはず!
それに、今現在、子株が展開してるんだから、現状を死守!!

下線部を確かめるために、Rootsさんに足を運びましたね、私は(正解でした)。

そして私は、今後さらにキーが群生してくれるのであれば、一種類ずつ他の水草を撤去してキーの面積を増やし、キー水槽として水草水槽人生を全うしても良いと思っておるのです。

・・・といった、ある水草への憧憬が大きく原動力になり、トーマシーの去った水槽を、水草水槽へと回帰させるための作業の一部始終を動画に収めてみました。

作業自体は2時間くらいで、動画収録時間は1.5時間。
いらない部分は省いて1時間強の動画…を2~10倍速を駆使して30分に縮めて、そこに実況を入れました。
ご興味ありましたらご覧ください。

※ 縮めに縮めての30分ですが、1.5~2倍速でのご視聴をお勧めします。

追記:水槽内の様子はこちらの動画でもご覧いただけます。こちらは短いので、標準速度でご視聴ください!

Roots

住所 兵庫県西宮市里中町3丁目11-10-101
TEL 0798-40-2211
営業時間 11:00-20:00
(定休日:毎週水曜日、第1・第3木曜日)
WEB http://roots-aquatic.com
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