海外ドラマレビュー ~いきすぎた正義感「地獄が呼んでいる」~
海外ドラマつーと、10年ぐらい前はよくある学園ドラマや恋愛をテーマにしたものが多かった気しますが、Amazon prime や NETFLIX の普及で、違ったカテゴリの作品もずいぶん増えた気します。 気するだけかもですが。
そんな中、私はこれまであまり見てきませんでした。 だって、長いし! と、思っていたわけですが、遂に先日、全7シーズンある某作品を見終わり、海外ドラマ免疫もつき、せやけど、もちょっとサクッとしたやつも見たいなってとこで出会った韓国のサスペンス・ホラードラマの本作品。 1シーズンで全6話なので、とっつきやすい気します。 ってので、ちょっと紹介してみようと思います。 レッツサムギョプサル!
地獄が呼んでいる
監督 :ヨン・サンホ
脚本 :ヨン・サンホ、チェ・ギュソク
原作 :ヨン・サンホ、チェ・ギュソクのウェブトゥーン《地獄》
オフィシャルサイト
https://www.netflix.com/jp/title/81256675
ストーリー
予告も無く出現する地獄の使者たちに遭遇するようになった人々が突然の地獄行きの宣告を受けて経験する、超自然的な現象を描いた物語
「突然」死を宣告される人々
予告編見てもらうと大体伝わるかと思いますが、何やらCG感満載のお化けっぽい顔面が、人々のところに現れて「お前5日後の〇〇時〇〇分に死ぬで」みたいな宣告を突然されます。 え、うそん。 この辺は、なんつーか、ちょっとペラい演出で「ふーん」って感じで見れます。
容赦ない撲殺
で、いざその時間が来るとどうなるかというと、突然心臓発作が、、! バタッ。 とか、突然全身から血が、、、。 とかいうレベルではなく、生物っぽいけど生物ではない存在の、なんか巨大で黒いゴーレムみたいな連中が突然現れ、対象となった人をボコボコに撲殺します。 これが、殴る蹴るわ、掴んで振り回すわのひどい様相。 例えるなら、ワンピースとかドラゴンボールみたいなアクション漫画の一場面。 んで結局最後すんごい熱の光で燃やされて消しカスになってしまうわけですが。
殺される人々
で、この殺される人々、とんでもない犯罪者や誰かに恨まれる事をしたタイプの人ではなく、普通に生きてて、どっちかってと慎ましく暮らしていたはずの人達なのに、そんな目にあってしまうという点で「え、なぜ」と、興味と同情にも似た感情で揺さぶられます。
それぞれの目線
ストーリーは「当事者」「事件を追う刑事」「保護しようとする弁護士」「神の業とする宗教団体」「宗教団体を正とする暴力集団」と、それぞれの目線で進行していく。 それぞれに家族の問題などを抱えていて、その描き方が切なくもあり、残酷、で、かつ見どころとも言える。
原作は漫画なわけですが、優秀な俳優さんの演技は珍しく原作を凌駕してると思われます。 妻を殺害されて娘と二人暮らし、ずっと、その時の事を引きずっている刑事や、闘病中の母がいる弁護士、実は孤独を抱えている教祖、などの人間、家族模様からシーズン1は始まり、数年を置いて、その選べれた人が殺される「告知」が当たり前のようになった世界で、また話は進行します。
怖い
冒頭からの撲殺シーンがインパクト強すぎて震えますが、話が進んでいくと、「いつ自分が告知されるかわからない」恐怖もあいまって、盲信的になった人々は簡単に宗教団体、それを正とする暴力集団に飲み込まれて、思考停止したまま、いとも簡単に暴力を振るい、「正義の名の元」に人を殺してしまいます。
それを正義とする人が多ければ何をしても許される感じは、割と既視感ありますよね。
なんとなくこの数年のパンデミックとも重ねてしまう
私自身なぜこの作品が好きなんか、あまり深堀してなかったわけですが、コロナで更に露呈された感のある、盲信しすぎるあまり、その正義もいきすぎてしまい、ネットリンチ、誹謗中傷、、の結果、何が起きてもイナゴの大群のように次の獲物を探すだけで後には何も残らない。 それが普通になる現在のよく見かける様子と重なる点があったからな気もします。
監督が「新感染」とかと同じ方と聞いて納得。 あれも、ゾンビが主ですが、描きたいのは極限状態での人間ドラマであったり、といったところは本作品にも通じる気しました。 入り口はある種のわかりやすい暴力とかですが、入り込むと結局はドロドロした弱くも脆い人間の感情模様っていう。
一応最後は、一つの希望を残し更なる展開を残してシーズン1は終わります。 、、って、なんか真面目に書くとオモロないレビューになりましたが、近日シーズン2も公開されるとかで、1だけで十分見応えあるので、皆さんオススメでございます。