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舌れ梵 / 書を持って町に出よう~神戸読書スポット案内 ①

CULTURE, LIFE STYLE

はじめまして。関西の本にまつわるイベント情報サイトを運営している栞舎と申します。(コロナウイルスの影響もあって開店休業状態ですが…)

今月からこちらで
『神戸で気持ちよく読書ができるスポット』

をご案内しようと思っています。

ご案内、とえらそうに言ってみましたが、実は私、一昨年の夏に東京から神戸に移住してきたばかり。

友達0人からのスタートで、あまりのさみしさに涙した日もありましたが、そういえば自分は本が好きであったなぁということを思い出して、

新天地・神戸で「自分のお気に入りの場所」=「気兼ねなくのんびりと本が読める場所」を見つけていこうと、前向きな気持ちになったのです。

そんなわけでこれからよろしくお付き合いください。

雨が降った日は植物に覆われた秘密めいた喫茶店で本を読む

気になりつつも一歩足を踏み入れるまでに時間がかかった喫茶店があります。

『舌れ梵 (とれぼん)』

もじゃもじゃっと植物に覆われたその奥に入り口があるのですが、表から中の様子はよく見えません。

少し近づいてみると、「只今営業中」「やってます」「営業中」という小さな木札が三枚も。意外とウェルカムな雰囲気のお店なのかもしれない…。

とある雨の日に扉を開けて入ってみました。

お店の中にも植物があふれかえっています。生命力に満ちた生花や観葉植物が茂り、かつ至るところに大胆に配置されたドライフラワーがどこか退廃的。

時間も場所もわからなくなってしまいそうな独特の世界観が出来上がっています。

そんな中、常連とおぼしきお客さん達が(おそらく)いつものテーブルで、いつものように時間を過ごしていました。

朝のコーヒーをゆっくり飲みながら新聞を読む人、近くの病院で薬だけもらってくる、と荷物はそのままで出かけていく人、みんなまるで自宅の延長のようにくつろいでいます。

とはいえ常連でなければ肩身が狭いというようなお店ではありません。

ママさん(と呼ばれていました)は見慣れない私にも分け隔てなく接してお店についていろいろと教えてくれました。

創業のころから40年以上も変わらない価格のこと(ブレンド300円、ハニートースト200円)、取材に来た人はまず最初に値段のことを心配してくれること・・・。

お店の名前を冠した「舌れ梵ブレンド」はウェッジウッド・ワイルドストロベリーのカップ&ソーサーで出されます。

長く使っているので柄がうすくなってきたとおっしゃっていましたが、風格が増していて新品よりもずっと素敵です。

おいしいコーヒーをいただきながら、本を開きます。

店内のつくりや、テーブルと椅子の配置、そして植物によって、人の視線がまったく気になりません。本の世界に、自分の世界に静かに没頭していける環境です。

ママさんがほかのお客さんや配達業者の人と交わすやさしい会話(家族についての近況報告を親身になって聞くママさん…)を聞くともなしに耳にしながら、持ってきた本を読み進めます。

そういえば店のいたるところに本が置いてあるのが見えました。風景に馴染んでいたので、ずいぶん前からそこにあるのでしょう。今度そばに座ったときに書名をチェックしてみよう。

存分に読書に集中して小腹が空いてもハニートーストがある思えば心強いです。お店の一角にはまさにハニートーストの絵がかかっていました。

その昔、ハニートーストが大好きな画家の常連さんが描いたのでしょうか。いつか聞いてみたいと思います。

帰り際、ママさんは「またお目にかかりましょうね」と見送ってくれました。

また来てくださいねと言われるよりも余計にうれしかったです。

神戸にお気に入りの場所がまた一つ増えました。

今日読んだ本:
『ここは、おしまいの地』こだま

『ここは、おしまいの地』こだま
(太田出版)
http://www.ohtabooks.com/sp/oshimai/

舌れ梵 (とれぼん)

住所 兵庫県神戸市中央区元町通3-12-12 1F
営業時間 8:00~18:00(祝祭日は9時から)
定休日:お正月とお盆を除き無休
ホームページ http://www.torebon.sakura.ne.jp