カーヌーンという楽器 / From Occident To Orient vol.1
現在ドイツのべルリンにて、カーヌーンという楽器で音楽家、作曲家として活動している増田真吾と申します。まずは簡単な自己紹介と日本ではまだほとんど知られていない北アフリカから中東、さらに東ヨーロッパや中央アジアの一部の国でも演奏されているカーヌーンという楽器の紹介をさせてもらいます。
僕はカーヌーンを2009年の夏にエジプトのカイロで始めました。きっかけは関西のアラブ音楽の演奏家にゴリ押しされたからなのですが(笑)実際に目の当たりにした時はその美しい音色や華麗なテクニックの数々に魅了されてしまい、すぐに夢中になりました。
日本でも徐々に演奏される方が増えてきているとはいえ、まだまだマイナーな楽器には変わりないですが、当時はもっとマイナーで楽器の購入や基礎をしっかりと学ぶ事を考えると、現地に行く方が良いと思い、単身エジプトへ渡り2ヶ月程滞在しました。
カーヌーンは地域によって多少違いはありますが、基本的には台形の箱の上にたくさんの弦が張ってあり、それらを両人差し指に付けた爪で爪弾きます。ツィター属の楽器で日本の楽器ですとお琴に近いです。楽器にもよりますが、だいたい70本から80本程の弦が張ってあります(複弦なので1コースにつき同じ音に調律された弦が3本張ってあります。26コース前後のものが主流で音域は3オクターブ半程度になります)。
最大の特徴は左側に調律用のペグとは別に金属のレバーがあり、これらを上げ下げすることによって半音や微分音と呼ばれる微妙な音程が演奏可能となります。これらを調節しながら演奏することで、多彩な表現が可能となっています。
現在ドイツのベルリンで音楽活動をしていますが、こちらで撮った動画をいくつか紹介させてもらえたらと思います。
まずは去年の夏に撮影したミュージックビデオを紹介します。すべてカーヌーンで出せる音を用いて多重録音しました。エフェクト等加工している音は多々ありますが、パーカッションの音も元はカーヌーンからです。撮影はベルリンのいろいろな場所で行っているので、街の様子も含めて楽しめると思います。
次に紹介するのは僕が参加させてもらっているアラブ音楽アンサンブルのミュージックビデオです。撮影は2018年末でした。このHusam Al-Ali Ensembleはベルリンらしい多国籍なグループとなっています。演奏曲はEmta El Zamanという有名なエジプトの曲です。
今年5月に撮影したコントラバスとのデュオ演奏の動画を紹介します。4曲撮りましたが、そのうちの1曲でトルコの古典音楽の形式を用いて書いた曲です。他の動画もHalls Of Bragiのチャンネルで視聴できます。
最後までお読みいただきありがとうございます。今後は音楽のことのみならずさまざまなトピックを扱っていけたらと思っていますのでよろしくお願いします。
Halls Of Bragi
https://www.youtube.com/channel/UCJu5rWj_oMGGAueJoCLmGzg