映画レビュー ~タイトルが動詞の映画2本「来る」「さがす」
一度見た映画や本を、ふいに再び見たり読みたくなる事がある。
そういう時って経験則からいくと、その時、必要としているから見たり読みたくなる気がする。
邦画はアクション映画と恋愛映画はロクなやつに出会った事がないので、あまり見ないわけですが、それ以外だとなんとなく見たりします。
で、なんとなく見てしまったのが「さがす」で、なんとなくもっかい見たくなって2年ぶりぐらいに見たのが「来る」どっちもなぜか動詞のタイトル。 まぁそれはどっちでもいいんですが、どっちも好きな映画なので、ピックアップしてみました。 では、レッツどうし〜。
来る
監督 中島哲也
製作 日本
2018年
134分
配給:東宝
ホラー映画として見なかったらとても面白い
ストーリー
恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。 知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。 そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。 それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。 得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが・・・。
TOPICS
- 1回目は岡田さんの演技が気になってしゃーなかった
- ホラー映画としてみるとどーなんでしょ
- 狙いなのか挿入歌ダサすぎる
- その辺で緊張感抜けるのも狙いなのか
- 他の出演者のみなさまはすんごい
- ホラー映画的には演出とか効果音が妙にぺらい
- 1回目見た時は、そっちが気になりまくり
- 特に終盤は眠たくなる勢い
- ですが、ホラー映画として捉えず見るととても面白い
- 結局のところ、「人間の弱さ」がテーマ
- 誰でもある「妬み」「見栄」「虚勢」
- そういうなんが、ぐさぐさきます
- 自分自身も心当たりあるし
- どっかで見たことある気するし
- 何より終盤の主にいる幼い子供ってのが
- なんとも感情移入、引き込まれる要素
- 最強霊能者の松たかこさん演じる琴子さんの小ネタもツボ
- ラーメン完食とか、やばい前夜にモバゲーしているとか
- が、ゆえにラストは、もうちょっと欲しかった気もします
個人的感想
中島監督といえば「嫌われ松子の一生」「告白」「渇き。」どれも好きな私としては、そりゃおもろいよなと思ってみたわけですが、ホラー映画的観点で見た1回目は、あまりいい印象を受けませんでした。 で、なんとなく見た2回目は、もうちょっと違う観点で見れて、とても面白かったです。
新婚さんで会社でも人気者(の体)の妻夫木さん演じる「田原秀樹」が主となる序盤、妻の黒木華さん演じる「香奈」が主となる中盤、岡田さん演じる「野崎」が主となる終盤と大きく3つにわかれて舞台は進みます。
中盤以降キーとなるのは、二人の子供の「知紗」ちゃんになるわけですが、幼い子供をもつ親、の描き方がとても現代的で闇を感じる内容で面白い。 劇中ではブログに子供とのイクメンっぷりを書き連ねる描写ですが、いわゆるSNSやなんかで、無自覚に子供を使ったビジネスに展開している、最近時々見る感じの「子育て、パパママ奮闘記!」ってゆうて、結局自己承認欲求を埋めつつ、無自覚にそっから子供をキーに金儲けできればといいよねの魂胆透けて見えすぎの闇と通じるものがあります。
どのシーンでも人のネガティブな部分が結果「穢れ」として超常現象を引き起こし、自分を追い詰めるという描写は、妙に合点はいくし、ホラーアクションのペラい演出を除けば、最後までいいテンションで見れます。
また、数年後みたら印象違うのかもな、と思いまっし、そういう多角的にスルメのように楽しめる作品というのは偉大だと思いますよね。
見終わった後には、「うん、明日からちゃんとしよう」と思うので、とてもポジティブな映画だといえます。
さがす
監督 片山慎三
製作 日本
2022年公開
123分
配給:アスミック・エース
途中からちょっとラスト読める感もありますが、ふわっとした最後まで素敵
ストーリー
大阪の下町に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と言う智の言葉を、楓はいつもの冗談だと聞き流していた。 しかし、その翌朝、智が忽然と姿を消す。警察からも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にされない中、必死に父親の行方を捜す楓。 やがて、とある日雇い現場の作業員に父の名前を見つけた楓だったが、その人物は父とは違う、まったく知らない若い男だった。 失意に沈む中、無造作に貼りだされていた連続殺人犯の指名手配チラシが目に入った楓。 そこには、日雇い現場で出会った、あの若い男の顔があった。
TOPICS
- 父親役の佐藤二朗さんがすんごい
- 娘役の伊東さんもすんごい
- なんというか序盤と終盤で二人の印象全然違う
- そういうのって役者さんよなーと思います
- 同じ表情の演技してても
- 全然別物に見えてくるから恐ろしい
- なんだかんだあっても父と娘
- なんだかんだいっても法はひとつ
- 事実は一つで真実は複数
- なんつーか、全部それしかなかった
- 犯罪シーンもひっくるめて嘘のない人生を
- それぞれの演者さんが演じ切っている感
- 金がないからなんとかしたい
- もうこんな世の中から死にたい
- 自分を顧みて死んでしまいたい
- わかっているけど悪いものは悪い
- さがす=しりたい
- さがさない=しりたくない
個人的感想
ネットにおける検索精度は日々高まり、欲しい商品を探してたら、リコメンドでちょうどいい商品は出てくるし、気になるツイートを見てたら、そうでもないツイートは視界に入らなくなり、、。
知りたい情報を知りえることができる世の中といいつつ、結局のところ「臭いものにはフタをする。」知りたくない情報には無自覚に目をそらしていく、そのように近頃情報社会は出来上がっている気がします。
「臭いものには蓋をする」は、いわば完全なる思考停止でもあり、学校教育や明治から変わらない一部の法規制などにも当てはまる気がして、とても忌み嫌う日本文化だと個人的には感じる部分でもあります。
本作は、その知りたくない情報を知って、また、知ろうとして、もしくは知る必要があり、最後は悲しくも、ある種のやむを得ない結末を迎えるあたりが、収まりのいい映画だと感じます。 気になる点としては、ちょっとラスト近辺のセリフの回収は安易だった気もしますが、エンタメとしては、あれぐらいでいい気もしますよね。 いずれにせよ、序盤からラストで印象のずいぶん変わる佐藤さんを見るだけでも見る価値ある気しますよ。
そりゃそうなんですが、よーわからんアイドルとかと違って腕一本で勝負してる俳優さんってすんごいっすね。
2つ通して所感
和製ホラーって、一定評価あるような風潮ありますが、あれはメディアの戦略でしかなく、言うなればバレンタインデーみたいなものだと思わずにはいられない私ですが。 それはともかく、演技のとても素晴らしい役者さんと巧みな演出、物事の二面性・多面性を時間軸をずらしながら見せるストーリーの、この二作は割と好きな映画です。
考えたら、「来る」については、松たかこさんの印象が180度変わった「告白」のチームみたいで、そりゃ面白いわけですなとしみじみ。
例えば、「SNSの闇」みたいなのをテーマにおいたとして、それは物語の主に置かず、主たるテーマは別であり、その要素の一つとして違う角度で見せる作品というものが、面白いエンターテイメントなんだろうかと、珍しく真面目に考えた次第でした。
マドナシ ライブ情報
2022年7月23日(土)@月見ル君想フ
【スキマ産業vol.54〜キツネの嫁入り5th ALBUM 「Just scratch the surface」レコ発〜】
京都を中心に活動する、アコースティック・オルタナ・プログレバンド「キツネの嫁入り」が、4年ぶり5枚目となるALBUM「Just scratch the surface」リリースを記念して、3年ぶりの東京公演が実現。共演に旧知のMUSIC FROM THE MARSを迎え、新旧織り交ぜたライブを開催します。現体制では初東京。みなさん、是非おいでください!
- 日時: 2022年7月23日(土)open 18:30 / start 19:00
- 会場: 月見ル君想フ(東京都港区南青山4-9-1 B1F)
- 出演: キツネの嫁入り、MUSIC FROM THE MARS
- 料金: 前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500(+1drink)※配信 ¥2,500
チケット予約
[イープラス] https://eplus.jp/sf/detail/3654050001-P0030001
[マドナシ] https://madonasi.com/kitsune/contact/
キツネの嫁入り
マドナシ、ひさよ、猿田健一、北村信二、伊藤拓史
2006年より活動開始。gyuune casetteより1st Album「いつも通りの世界の終わり」、2ndAlbum「俯瞰せよ、月曜日」、P-VINE RECORDSより3rdAlbum「死にたくない」、4thAlbum「ある日気がつく、同じ顔の奴ら」をリリース。歌・アコースティックギター・ピアノ・サックス・ドラム・コントラバスという編成ながら、プログレ・ジャズ・ロックを基調とし変拍子を取り入れた音塊。主催イベント「スキマ産業/スキマアワー」では、廃校・ライブハウスを舞台に、UA、ジム・オルーク、THA BLUE HERB、山本精一、大友良英、向井秀徳、トクマルシューゴ、二階堂和美、キセル、石橋英子、テニスコーツ、コトリンゴ、といった多種多様なアーティストを招聘し続けている。まだまだ自分たちが楽しめる音楽への追求が止まらないため幾多のメンバーチェンジを経て現メンバーに至る。「dodone」MUSIC VIDEOが、世界4大アニメフェスオタワ国際アニメーション映画祭の特集プログラム “New Tool Who Dis? Tactility in the Digital Age” 選出、プラハのPrague Music Video AwardsでBest Asian Music Vide受賞。2021年4年ぶりとなる待望の5thAlbum「Just scratch the surface」をリリース。
MUSIC FROM THE MARS
藤井友信:Vocal Guitar
吉村祐司:Drums
坂井キヨオシ:Piano, Chorus
ケイタイモ:Electric Bass, Chorus
中村浩:Soprano Sax
奥田敏朗:French Horn, Chorus
97年結成。AOUPR(アダルトオリエンテッド歌ものパンクロックの造語)のトップランナー。Rock, Jazz, Prog-Rock, Experimental, Latin, Soul等あらゆるジャンルの本質と熱量を捉えて昇華させたサウンドを力強くソウルフルに体現。馴染みやすい歌メロと日本語詞。それを支える構築美溢れる緻密で大胆なアレンジ。機知に富んだインタープレイの応酬。音的好奇心をくすぐる独創的スタイルは更に進化し、近年その強度を増している。
04年「music from the mars」(MONA-003) 05年「summery」(MONA-011) 07年「Living in the ZOO」(TRACK-005)を発表。
2016年発表された「After Midnight」(NHCR-1146)は過去最高傑作としてミュージシャン、リスナーの間で話題となった。
2017年活動20周年を経て2018年春に新曲2曲を7インチシングル「WHO CARES?」をリリース、2021年には「Every Day and Every Night」を配信リリース。