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世沙弥 − 現代美術と創作料理、たましいを解放する空間

ART, GOURMET

今回ご紹介させて頂くのは私設現代美術館であり、また創作料理店である「世沙弥」さんについて。

正直生きてきた中で初めて人に秘密にしていたい場所。

本当に紹介したくない気持ちがあるのですが、 “芸術を楽しむ” ということをより多くの方に体感して頂きたいという事が勝り書かせて頂く事に…。

世沙弥とひっそり書かれた看板の入口周辺には画家で彫刻家の加藤泉さんや彫刻家の水島太郎さんの作品など。
その他広い敷地内には写真に撮りきれないほどのたくさんの作品が置かれ早速独特な雰囲気でお出迎え。

六感を刺激する料理空間「世沙弥」

世沙弥さんは、芸術作品のコレクターであるオーナーの和田大象さんによるセレクトによって選ばれた数え切れない程の芸術作品が置かれた空間で、六感を刺激する料理を楽しむことをコンセプトにされています。

味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚の五感までは日常であって、その中ではなく、プラスの第六感のゾワゾワ、ワクワク、霊感、自然に湧いてくるアドレナリンの快感を得られるような、非日常へワープする旅を感じさせる、そんな場所であること。

そしてもう一つの大事なコンセプトは、一緒に食事を楽しめる仲間がいることの喜びを感じれる事。

「食事は、一期一会。 当たり前に思っていても、そのメンバーで一緒に2、3時間食事することは奇跡。一回限りのこと。 メンバーが同じで3ヶ月ごとに会っても、それぞれの環境は変わってくる。 一期一会はお茶の精神。 お客様をもてなすホスピタリティ。 でも私は、お茶の権威が嫌。 掛け軸、茶碗の名品、誰もが名品と言われるものを見て、いいに決まってるじゃないですか。 ああ、すばらしいですね、って感心するだけで萎縮してしまいます。 気楽に利休の精神を持ち込みたかったんです。 作家の名前は知らなくていい。ゾクゾク、ワクワク、ああ、おもろい、イヤ気持ち悪い。 たましいを解放するもの。 開放ではなくて、解放!」

そう和田さんはおっしゃいます。

建物に入ると通路には作品が至るところに。右側のインパクトのある作品は芸術家 栗田淳一さんの作品。

私が初めて世沙弥さんにお邪魔したのはお蕎麦の会。

建物に入る前から所狭しと作品が並べられているだけではなく、使われる食器、グラスや徳利おちょこに箸置き、、何もどれも全てが作家さんの作品で一点物。

器やグラスなど使う機能性のある作品はきちんと使うという精神なんでしょうか、食卓テーブルに並んだもの全てが色鮮やか、形様々、心が踊るんです。
大量生産されたものでは絶対に味わえない感覚、手作りの温度を感じます。

たくさんの美術作品に囲まれた大きなダイニングテーブル。

この日はカフェ時間に予約して伺ったのですが、夜はこの様に素敵な酒器で美味しいお酒をサーブしてくださいます。

とてつもない存在感の椅子は芸術家の十時孝好さんの作品。

至る所に置かれている加藤泉さんの作品。 右側は「画集ペロタン」の最初のページに載せられている作品。
画集の最初に載ってるものが目の前に!感動です。

Published by Perrotin

左側は以前寄稿させて頂きました芸術家の小川喜一郎さん、真ん中は芸術家の古巻和芳さん、右は彫刻家の安藤榮作さんの作品。

左側はダイニングテーブルに置かれた椅子の作者と同じ十時孝好さんの作品。

一点一点、緊張感を感じる作品、知らない作家さんの作品から教科書や有名な美術館にある作品がゴロゴロあって、息継ぎを忘れてしまうような素晴らしい空間なんですが、展示されている作品が素晴らしいという事だけを伝えたいわけではありません。

オーナーの和田さんの芸術作品に対する愛情です。

先日少し作品についてお話を伺った時、キラキラと噴き出す程の愛情とエネルギーで作品の説明をしてくださいました。
私は、あの迸るようなエネルギーや熱が忘れられません。

作家自身が自分の作品を愛す事と同じように、これほど他人が作品を愛でるという事があるのか! と衝撃を受け、感動しました。
作家としてこんな幸せな事はないでしょう。
何より作品が喜んでいるに違いないと感じます。

思いを込めて、大事に大事に自分の身から絞り出した分身のようにつくった作品を、愛情深く大切にしながら、空間の中に作品を展示し、いろんな人が芸術を楽しめる、楽しむ、感じる。 普通の美術館ではあり得ない、その空間の中で楽しむ食事。 芸術をより身近なものに取り入れるよう働きかけているように感じます。

表情やテクスチャーに引き込まれました、美術家 伊藤遠平さんの作品。

大胆な迫力の人物画は先ほどうさぎの作品や椅子を手掛けられた十時孝好さんの作品。

浴室もギャラリーと化し所狭しと作品が並べられている。

左側は芸術家 草間彌生さん、右側は前回寄稿させて頂きました日本画家の木村了子さんの作品。

手前のバッタの作品は色々物議を醸し、ニュースにもなっていた芸術家 岡本光博さんの作品。

トイレに…!?衝撃でした。世界的に有名なKAWSさんの作品。トイレに…。

世沙弥のアートで他の美術館や画廊にはない特徴として

  1. 立体が多い。それも人物。それも奇妙な。 木彫、陶芸、布、素材は問わない。
  2. キネティックアート:電動の仕掛けがあるもの。 これは個人ミュージアムでは珍しいでしょう。
    吹き抜けの空気で上下する作品。メインダイニングのガラスの中の渦巻き作品。入り口のフィギュアがアップダウン。その横のガラス玉が螺旋ループを登っていく作品。 どれも、シャワシャワ、す〜す〜、クックックック、幽かな異次元の音を発しています。
  3. アウトサイダーアート:障害者アートを含め、それに限定しない無垢なアートが多い。

別のベクトルでのコレクションテーマは、エロスとユーモア。
先に宣言したように、

<たましいを解放するもの>

だそうです。

私は色んな芸術に触れる度に、カラダのどこからか、胸の辺りなのか頭の奥の方からなのか不思議な、じんわりとしたぼんやりとしたものが湧き出てくる気がするのです。

その言葉に出来ない感覚を全身で感じられる空間でした。
だけどこの空間の素晴らしさは私の言葉ではこれ以上表現できません。

是非一度行ってみて体感して頂きたいです。

3ヶ月に一度作品を入れ替えられるそうです。
要予約。

世沙弥(せさみ)

住所 〒532-0026 大阪府大阪市淀川区塚本1丁目3−30
WEB https://taizoo.com

※ 予約方法やその他、詳細につきましてはウェブサイトにてご確認ください。