世界で活躍するカーヌーン奏者 / From Occident To Orient vol.2
前回、カーヌーンについて少し紹介しましたが、今回は世界で活躍されているトップ奏者を紹介したいと思います。
国や地域によって色々な演奏スタイルがありますが、現在は様々なテクニックが考案され、とても華やかでかつテクニカルな、モダンスタイルとも言える演奏が主流となっています。特にトルコはその中心地であるため、高度なテクニックを難なく弾きこなす奏者がたくさんいます。
そんなプロ奏者たちの演奏は音ももちろん魅力的ですが、視覚的にも非常におもしろいので、目と耳両方で楽しめます。
Göksel Baktagir (ギョクセル・バクタギル)
まず始めに、現在世界で最も有名なカーヌーン奏者の1人、Göksel Baktagir (ギョクセル・バクタギル)氏を紹介します。
彼は独自の演奏スタイルを確立しており、エチュードも含め、多数のオリジナル楽曲も作曲されています。
定期的にセミナーやワークショップも開催されていて、世界中のカーヌーン奏者が学びに来られます。
僕も何度か参加しましたが、温厚な人柄でみんなから慕われていました。
こちらは彼のミュージック・ビデオから 『Dalgalar (ダルガラル)』 という楽曲です。
こちらは2011年夏のギリシャ、クレタ島でのセミナーの様子です。
Ahmet Baran (アフメット・バラン)
次に、新時代を代表する気鋭のカーヌーン奏者、Ahmet Baran (アフメット・バラン)氏を紹介します。
彼は従来のようなトルコの古典音楽や芸術音楽の演奏者としてももちろんトップレベルではありますが、自身のプロジェクトやYouTubeチャンネルでの動画では、あまり他のカーヌーン奏者が演奏していないようなポップスやロック等のスタンダードナンバーや現代のヒット曲をカバーしたり、ルーパーやクラブサウンドも取り入れたりしてとても意欲的な活動をされています。
こちらは彼のミュージック・ビデオから 『Sızı (スズ)』 という楽曲です。
こちらは世界的大ヒットチューン、Luis Fonsi(ルイス・フォンシ) の 『Despacito (デスパシート)』 をルーパーやエフェクトを使った多重録音でカバーしたビデオです。
Aytaç Doğan (アイタッチ・ドーアン)
最後に、指弾きがメインの特殊奏法での超絶演奏で有名なカーヌーン奏者、Aytaç Doğan (アイタッチ・ドーアン)氏を紹介します。
彼はトルコのみならずアラブ圏でもバクタギル氏と同じく広く知られている奏者の1人で、アラブ人のカーヌーン奏者の中にも彼に憧れている人は多いと思います。
特に即興演奏が素晴らしく、技巧的でありかつ情熱的な演奏に心惹かれる人がとても多いのですが、今回は彼のソロの公式ビデオと彼が参加している世界的に人気のバンドのタクシム・トリオの動画を紹介したいと思います。
こちらはトルコの演歌的な音楽のジャンル、アラベスクの有名な歌手 Orhan Gencebay(オルハン・ゲンジェバイ) の 『Dil Yarası (ディル・ヤラス)』 という曲のカバーです。
こちらは Taksim Trio(タクシム・トリオ) の動画より 『Kumsalda Dans (クムサルダ・ダンス)』 という、とてもノリのいい楽曲です。
いかがでしたでしょうか?
この記事を通してカーヌーンという楽器に興味を持ってくださる方が増えれば幸いです。
日本語媒体ではまだまだ情報が少ないカーヌーン業界ですが、素晴らしい奏者はまだまだたくさんいるので、今後もトルコ以外の地域の奏者も含めて紹介していけたらと思っています。