魚の九:フィルターのメンテナンスについて・・・書いてたのに、緊急事態勃発!水槽が無惨な姿に!! / 打と居と魚
※パーカッショニスト木村和人による寄稿は、パーカッショニスト目線の「打・カテゴリ」、DIY関連の「居・カテゴリ」、アクアリウム関連の「魚・カテゴリ」、三つのテーマでお届けしております。
本日は・・・
魚の九:フィルターのメンテナンスについて・・・書いてたのに、緊急事態勃発!水槽が無惨な姿に!!
今回はメンテナンスをテーマにお届けします。
水槽という擬似生態系を維持する設備は、育成する対象によって微妙に変化しますが、水草水槽においては、
- 照明
- フィルター
- 二酸化炭素添加装置
ということになろうかと思います。
そのうち、フィルターについて、先日アップしたYouTubeのメンテナンス動画も参照しながらお届けします。
① フィルター構成
私のフィルター構成は画像のような状態。
まず目につくのは、通称ミドボン、二酸化炭素のボンベですが、その左にあるのがサブフィルター。
更に左に、メインフィルターをつなげています。
フィルター設置場所は、水槽より下に配置するのが定石ですので、これらの器具は地べたに、水槽はこの上に据えられています。
水の流れは、水槽からの水は(ミドボンのすぐ左横に見えている)ホースからサブフィルターに入り、次にメインフィルターへと流れ、(一番手前に見えるホースを通って)水槽内に戻ります。
アクアリストは、自分の水槽の規模と内容物によって、フィルターの選定と配列を行いますが、場合によってはフィルターは1つでも良いでしょう。
私の選択は、
- まず、サブフィルターで物理濾過(読んで字のごとし、ろ材やウールマットなどによってゴミを漉し取る役目)を行い
- メインフィルターはバクテリアが繁殖するスペースを十分に確保する
というものでした。
ただし、ポンプ、モーターはメインフィルターにしかついていませんから、血液とも言うべき清潔な飼育水を水槽内に満遍なく行き渡らせるには、サブフィルターよりも一回り大きいフィルターをメインに据えています。
② ホース類の清掃が水流を整える
10年強のアクア生活の中で得た経験によると、実は、フィルター内の汚れよりも、このホース類の汚れの方が、水流を弱らせることが分かりました。
前述のように、水流が弱まると、水の交換が行き届かない場所が出てきます。そして何より、現在育成している水草たちは、ある程度の流れのある場所で自生していることが分かっていますから、その成長にも影響を及ぼします。
そう言うわけで、フィルター清掃はある意味、ホースを掃除するタイミングで行われる、とも言うことができます。
実際の作業の様子をご覧いただける動画はこちら↓
▼「フィルター清掃三部作 ① ホース類の清掃が水流を整える」
まず、ホース類をフィルターから取り外す
専用の器具を使って内側の汚れを除去する
と言う、至極単純な工程です。
この工程で同時にしなくてはならない作業が、吸水口と排水口となる器具の洗浄です。
これは、汚れの最前線とも言うべき、しつこい「こびりつき汚れ」が有りますが、ホース類の洗浄を始める前に台所用漂白剤に浸けておき、フィルターも含めた全ての作業が終わってからの洗浄となります。
私は景観上 ADA のリリィパイプを設置していますが、これらはガラス製で割れやすいので、脱着の際にはホースとの設置面に水を垂らして潤滑させ手から外すのが鉄則になっています。
皆が皆同じ器具を使っているわけでは有りませんので、これについて述べるのが適切かは分かりませんが、作業自体はほぼ共通で有りながら、使っている機材によって独自の「コツ」が必要なところも、カスタマイズ性の大きいアクア趣味の面白いところでも有ります(『魚の七:アクアリウムの最大の敵はコケではない』の主役、ヒラマキガイ対策のちょっとした工夫も動画内にありますので、ぜひご覧ください)。
!ここで緊急事態発生!
執筆中に、緊急事態が発生しました!!
よって、大きく方向転換して、その大事件について!
・・・の前に、「フィルター清掃三部作」の続きの動画をば・・・。
▼「フィルター清掃三部作 ② 物理濾過最前線!サブフィルター清掃」
一体、フィルターとはどれだけの汚れを除去することができるのか? 視覚的にお分かりいただけると思います。
▼「フィルター清掃三部作 ③ 完結編!!メインフィルターへ。結線と仕上げ」
フィルターは2ついっぺんに掃除するべきではない…しかし汚れ方次第では清掃も辞さない考えで開けたメインフィルター。 サブフィルターとメインフィルターの組み合わせは、本当に効果的なのかどうか真価が問われる・・・。
ぜひご覧ください!!
そして、チャンネル登録、高評価もよろしくお願いいたします。
!緊急事態、何が起こった?!
単刀直入に申しましょう。 クリプトコリネが溶けました。
半年かけてやっと子株が生じ、一年でやっと繁茂の兆しを見せ、1年と8ヶ月でまだまだ勢いを見せて水槽内の版図拡大が進行中であった、
クリプトコリネ・キー
Kpg. Sogo Bau Sarawak
が溶けました。
今まで、希少種のクリプトは、溶けるまでに消失させてしまっていたのですが、その原因は頻繁に水草の植栽位置を変更していたことであって、今回は一度植えた場所から一度も動かさないことによって、繁茂に成功したものです。
健全な状態は、上記メンテナンス動画でも見ることができますが、現在の姿は・・・
溶けた部分をこそげ落として吸い出した後の画像です。
事後策としては、溶けた葉っぱを根本から切除してしまう、といった方法がポピュラーなようですが、このコラムやブログの方でも、度々あげている、水草マスターのRootsさんの「水草プロパガンダ」(*1)に書いてあった方法を試しました。
(*1)
水草プロパガンダ:クリプトコリネ ~この美しい水草 ~Part4-2 最終回
http://roots-aquatic.blogspot.com/2016/06/part4-2.html
2016年4月の記事です。
私がこの記事に出会ったのは、2017年くらいだったでしょうか・・・。
それまで、通りいっぺんの事しか知らなかった私にとって、「水草プロバガンダ」は、レアな水草に興味を持つきっかけになったブログです。
なかなかコワモテな文章と、刺激的な内容だったので、実際にお店に行くのは結構な勇気が必要でした。
一年くらいはROMって(死語?)ましたね。
私のクリプトへの「憧れ」は、この「クリプトコリネ ~この美しい水草~」シリーズによる影響が強いです。
!原因を究明せよ!
何か事件が起こったら、その原因を究明せねばなりません。
それまで順調に育成できていたならば、その期間のメンテナンスはOK! 適正!!
普段と違うことをしたから何かが起こるってわけです。
実は、心当たりがありまくり、と言うか、原因はハッキリしているのですが、問題を切り分けるため、ここひと月ほどで行ったイレギュラーな出来事を列記していきます。
* 7/26 フィルター清掃(フィルター清掃三部作動画作成)
これは、キー導入後1年と8ヶ月の間に何度も行った作業なので、溶けの原因としては考えにくい。
* 8/11 流木とアヌビアスの黒髭ゴケ処理を木酢液で行う。
木酢液処理は水槽外で行い(流石にスポイトで直接噴霧はしていない)ましたが、残留木酢成分が何らかの影響を及ぼすことも可能性としてはゼロではない。
しかしながら、溶け発生が8/27であることから、今回の「溶け」の原因とは考えづらい。
* 8/20 換水および新草導入
仕事の合間に久々にRootsさんに立ち寄り、Cry.(←クリプトコリネの略記)クリスパチュラvar.クボタエ(旧トンキネンシス)、Cry.クリスパチュラvar.バランサエ “Red Lucanas” の二種を導入。
換水は平常運転、それと、生体のいる水槽からの購入&単なる植栽なので、原因とは考えられない。
ここで、ふたこと、三言・・・
8/11木酢処理あたりから、それまでの中長期維持体質から、アクア熱が再燃してきていたと、はっきり振り返る事ができます。
そしてその熱は、ますます繁茂するキーとそれによって見えてきた、前景から後景までクリプトコリネで埋め尽くす(これもまた、先程のRootsさんのブログに記述されていた内容を思い出して・・・)という、「憧れの実現」への布石・・・。 後景草として使える二種のクリプトを導入した事が、結果として現れております。
因みに、8/11、20の模様はYouTubeにアップ済みですので宜しければご視聴ください。
▼「木酢液プールへドボン!~流木とアヌビアス類の木酢処理」
▼「アヌビアス類を流木へ巻きつけ~草は無事だったのか?~」
▼「換水!ひたすら換水! ただただ換水する動画~カルキ抜き無しでじゃぶじゃぶ~」
閑話休題
8/26(溶けの前日) 新草導入、木酢処理、換水
ヤマトヌマエビが減っていたため追加導入するために、ひごぺっとフレンドリーへ行くと水草セールが。 ここで、再燃したアクア熱により、前景のCry.パルバ(トロピカ)を増量、その他、現体制には無いキャラクターのブセファランドラ・グリーンウェイビー(トロピカ)と、アラグアイア・レッドシャープリーフ・ハイグロフィラ(BIO水草の森)を併せて購入。
① このうち、トロピカ社の二種は、水に浸かってない状態で販売されていたため、残留農薬を疑い「水草その前に」の代替え品にて処理。
② また、植栽のために行なった既存の草の移動にともない、大量に汚泥が巻き上がったので水質の変化を恐れて換水。
③ 更に、元々植わっていたブセファランドラなどを移動する際、これらに付いたの黒髭を木酢処理(前述の流木とアヌビアス 類の木酢処理が好結果だったため)。
④ 全ての作業の終了後、キーの葉が一枚だけ中間部で溶け? ているのを発見。他の草には全く異常がなかったので放置。
以上、溶けの前日に行われた作業が疑わしいわけですが、② の換水は今までもイレギュラーな状態での換水は行われた事があるので、一応除外。
ここで、④ が問題の切り分けをしづらくさせています。
④ の発見が無ければ、Cry.キー全体の溶けの原因は、水草その前にの残留(①)か、木酢液の残留(②)のいずれか、或いは両方、に確定でしょう。
しかしながら、④ を発見したことにより、もう少し長いスパンでの原因を推論する事ができます。
すなわち、7/26からの1ヶ月に行った諸々の作業がボディーブロー化し、大規模な溶けの前兆として蓄積。その結果としての ④。
フィニッシュブロー的に、8/26の一連の作業・・・と言う事ができそうで、こちらが原因としては正しそう・・・けど・・・、
なんか違うぞ!!
最大の原因は ④ において「他の草に全く異常がなかったので放置」、これであります。
「これだけ調子良いんだから、これが溶けのはずが無い」と言う慢心、それから「溶け」を今まで経験した事がない、つまりは経験不足から判断を誤ったわけです。
もちろん、実行犯的原因である個々の作業も、もう少し長い期間に分けて行っていたら、キーの体力によって何とかなっていたかもしれません。
しかし、主犯的原因は、私の慢心としか言いようがない。
あの時、あのたった一枚を葉柄から切除していたら、ひょっとすると、他の全てのキーが生き残ったかもしれない??
この考えは拭い去る事ができないのです。
そう言えば、あの記事 (*2)にも書いてあったな~。
溶けの原因は、「多くの場合は確実に栽培者の怠慢やミスが原因」である、と。
(*2)
水草プロパガンダ:クリプトコリネ ~この美しい水草~ Part4-1
http://roots-aquatic.blogspot.com/2016/05/part4-1.html
・・・つづく。